予想最高気温は35℃の猛暑日になると天気予報が伝えてた。
私は、「待っていました」とばかりに気温が最も上昇する正午に2時間半のランニングをスタートしたのです。
気温が35℃を超える猛暑日の予報がでると、環境省が屋外での運動禁止をよびかけるほど(個人的には余計なお世話だと思っています)危険な状況にもかかわらず、私は毎年夏になると週に1~2日は猛暑日の日中にあえてLSDなどの長距離ランニングを行います。
理由は単純です。
暑さへの適応能力を高めることによって、秋冬シーズンのランニングパフォーマンスの向上が期待できるからです。
私の経験では暑い夏にどれだけ体をイジメまくることができるかで、冬のレース成績に大きく影響することを実感しているのです。
暑いと速く走れない理由
普通なら夏は走りたくありませんし、そんな気分にもなりません。
例え走ったとしても、タイムは遅く長距離を走ってもバテてしまい、夏のランニングは効率が悪いだけと思い込み、あまり走らない人もいるのではないでしょうか?
暑い夏はタイムが落ち、距離がのばせないのは当たり前のことなのです。
人はランニングなどの運動をすると体温が上昇し汗をかきます。
汗が蒸発する気化熱により、上昇した体温が大気に放出され、体温を冷やすことで運動を継続していけるのです。
気温が高い真夏にランニングを行えば、上昇した体温を冷却する効率が悪くなるのは言うまでもありません。
こうなると体温の上昇を控えるために、ランニングのペースを落とすしかありませんし、ペースを維持したいなら、いつもより心拍数を上げる必要があります。
以上のように夏場のランニングはとても効率の悪い運動を行うことなのです。
効率が悪いからこそトレーニングになる
暑い夏にトレーニングするということは、高地トレーニングに似ています
高地の薄い酸素に適応することで平地に降りた時にタイムが向上する効果が認められるように、暑い夏のランニングに適応することで涼しくなったときにランニングパフォーマンスが向上するのです。
では暑い夏にランニングをすることで、具体的にどのような効果があるのでしょうか?
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心拍数が下がる(血管を流れる血流が増える)
暑い夏のランニングでは走り出してすぐに心拍数が上がり、通常よりも心拍数が高くなってしまいます。夏のランニングに体が適応することで同じペースでも低い心拍数で走ることができるようになります。 -
体温を調整する能力が向上する
暑い夏のランニングでは上昇した体温を下げる。つまり体温調整の機能がフル回転しなければランニングを続けることができません。夏のランニングに適応することによって体温調整能力を向上することができます。 -
脱水症になりにくくなる
夏のランニングでは大量の汗をかきます。夏のランニングに適応することで水分を体内にたくさん蓄えることができるようになり、脱水症になりにくい体質になります。 -
暑さへの耐性が高くなる(熱中症になりにくくなる)
湿度にもよりますが気温が25℃以上になると熱中症の危険性が出てくると言われています。夏のランニングは、水分やミネラルの補給も重要ですが、結局のところ暑い夏にたくさんランニングをして慣れるしかありません。そうすることで暑さへの耐性が高くなり熱中症になりにくくなるのです。
夏でもランニングを継続することで、涼しくなってくる秋ごろから、明らかに走りが変わります。
タイムアップはもちろんですが、ロングランでも後半にスピードを維持することができるようになります。
また、給水やエネルギー補給の頻度も少なくてすむようになり、明らかにランニングパフォーマンスの向上を実感できるようになるでしょう。
暑い夏でもランニングを続けるためのコツ
ここまでは夏のランニングは良いことばかりのように書きましたが、間違った方法で行うと逆効果になる場合もあります。
そこで私なりの暑い夏でもランニングを続けるためのコツを書いてみたいと思います。
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ランニング初心者にはあまりお勧めしません
もちろん個人差はありますが、始めて1~2カ月程度のビギナーには正直なところお勧めしません。夏の間はウォーキングに切り替える、もし走るとすれば、早朝や日の落ちた夜にペースを落とし距離を短くして無理せずに走りましょう。それでも夏の運動を続けることによって秋から飛躍できるはずです。 -
日中の長距離ランニングを週1程度
もし夏場はあまり走らないといった方は、春の走行距離をそのまま維持して夏を乗り切ってみましょう。ただしいつもよりペースは落として走りましょう。そして日中の長距離ランニングを週1程度取り入れてみましょう。涼しい季節になれば自然にペースは上がり、さらに距離も伸ばすことができパフォーマンスの向上が実感できるはずです。またこの季節こそインターバル走を行いやすい季節です。目標の心拍数に達するのも早いですし、体が冷える冬に比べて故障を起こしにくいので、高強度の練習を短時間に実施するのも効果的です。また時には夏のトレイルランニングに取り組むことで、心肺機能の向上と長距離の持久力を高めることができます。 -
給水やミネラルの補給をこまめに行う
私は5キロ以上の夏場ランニングでは必ず500mlのソフトフラスクと塩飴、ジェル、小銭をウエストポーチに入れて走ります。給水は状況によって15分~30分ごとに行い、時計のアラームをセットして忘れないように工夫しています。大量の汗とともに大量のミネラル分も失うため、30分に1回程度は塩飴を口に含むようにしています。場合によってはコンビニや自販機に立ち寄ってスポーツドリンクを飲むのも有効です。もし携帯ボトルを使用するなら水を半分程度で薄めて走りながら給水するとよいです。また暑い夏のランニングほど体力の消耗は激しくハンガーノックになりやすいためジェルも携帯するようにしています。そしてコンビニや自動販売機が点在するコースを選び、水や携帯食尽きてしまうリスクを回避しましょう。 -
キャップは必須、ランニングウェアも速乾性のものを使用
夏のランニングで気を付けなければならないポイントとして重要になるのはウェアです。暑い日差しを避けるためにキャップとスポーツサングラスは必ず着用しましょう。ウェアは上下ともに速乾性と通気性に優れた化学繊維のものを着用してください。速乾性に優れたウェアは気化熱の発生を手助けするため体温の冷却にもプラスに働きます。また、給水場のあるランニングコースを選び、後頭部から水道水を流して直接体を冷却することをお勧めします(私は20キロでこれを3回行います)。
トップランナーほど夏に強く走り込む
実は7月から9月にかけての暑い季節にも全国各地でマラソン大会やトレイルランニングの大会が開催されています。
また、箱根駅伝を目指す選手たちの走行距離が最も伸びるのは夏合宿での走り込みと言われています。
さらにトップアスリートの誰もが憧れ目指すオリンピックや世界陸上も暑い夏に開催されるのです。
トップアスリートたちがオリンピックや世界陸上に選ばれる条件の一つとして夏の暑さに強いのは当然のこと、普段から暑い夏に走り込んでいるからこそ強くなれるとも言えるのです。
ホビーダンナーの私たちは決して彼らの真似はできませんし、無茶をする必要はありませんが、暑い夏こそ簡単に体をいじめやすい時期でもあり、チャンスでもあるのです。
ぜひこの暑い夏をあなたの味方につけて、有意義な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?