2月25日の東京マラソンでは設楽悠太選手が日本記録を5秒上回る2時間6分11秒のタイムをたたき出しました。
日本記録を更新したのは16年ぶりといいますから、とても素晴らしいことだと思います。
そしてこの日本記録更新と同じく、にわかに注目を浴びているのが履いていたシューズ。
▲ナイキの「ズーム ヴェイパーフライ 4%」(定価25,920円)だったといいます(引用:NIKE)
ご覧の通り、マラソンのレースシューズとしては、かなりの厚底。踵の厚さは3cmもあるそうです。
設楽選手が履いていたシューズがなぜ注目を浴びているのかおわかりになった方も多いと思いますが、マラソンの世界では速い選手のシューズほど、靴底は薄くなり、足と地面との距離は近くなると言われていたんですね。
マラソンのトップランナーほど薄底シューズが常識だった
市民ランナーの僕でさえ、タイムが上がれば上がる程、薄いソールのシューズを選ぶようになりました。もちろん、市販される多くのランニングシューズでは、速いランナー向けのシューズほど靴底が薄くなっています。
薄底のメリットは、蹴った力を地面にダイレクトに伝えることができると言われています。その反面、地面から受ける衝撃も大きくなるため、相応の脚力が必要になり、疲労や故障の原因になるとも言われています。
逆に衝撃吸収性を向上させるために厚底にすれば、その分地面に伝わる力が吸収されてしまい、タイムアップを図ることができないと言われています。
少し話しは変わりますが、100マイル(160キロ)以上の距離を走るトレイルランニングなどでは、厚底シューズを選ぶ選手がたくさんいます。そして、トレランシューズのトレンドは厚底です。
トレランではフルマラソン程のスピードは要求されない代わりに、超長距離のランニングに対する疲労軽減が最終的なタイムアップに繋がるため、厚底シューズにメリットがあるとされています。僕もトレランの時は例にもれず厚底シューズを履いています。
もしかしたら、マラソン界でも厚底シューズがトレンドになるのかもしれませんね。
ランニングエコノミーを向上させるために厚底にするというナイキが出した答え
ナイキと契約する選手の要望は「軽量化」「クッション性」「推進力」という全ての要素が相反する難しい要求だったと言われています。
ナイキが出した答えは、厚底のソールに反発力を生むカーボン製のプレートを挟み込むというもの。しかも、ソールの材質は宇宙産業で用いられるというものでした。
そして、この厚底シューズの疲労軽減効果によりランニングエコノミーが4%向上するとされています。そんな理由から、4%がネーミングの一部として使われているんですね。
この厚底シューズの成果が表れたのは、2016年のリオデジャネイロ五輪です。「ズーム ヴェイパーフライ 4%」の試作品を履いた選手によって、男女マラソンのメダル6個中5個を獲得したと言われています。
さらに、ナイキがフルマラソンで2時間切りを目指す「ザ・ブレーキング2」というプロジェクトでは、2017年5月6日ナイキが主催する非公式マラソンレースでエリウド・キプチョゲ選手が2時間25秒という2時間切りまでわずか25秒というとんでもない記録を出してしまいました。
記録は非公式とされていますが、この時エリウド・キプチョゲ選手が履いていたシューズも「ズーム ヴェイパーフライ 4%」でした。
もちろん、これらの偉業は「ズーム ヴェイパーフライ 4%」だけによるものと断定することはできませんが、厚底シューズに否定的だったランナーの中には、「もしかしたら、厚底シューズがフルマラソンで使えるかも・・・」と、思い始めた人も多いでしょう。僕もその一人なんですけど。
▲17年4月のボストン・マラソン3位の大迫傑もズーム ヴェイパーフライ 4%を履いていた
厚底シューズに否定的な声も
僕の市民ランナーレベルの経験では、厚底シューズにはデメリットが多いと考えています。
足と地面との距離が遠くなることによって、テコの原理が大きく作用し、地面のちょっとした段差や傾きによって足首などを捻挫しやすくなります。
また、クッション性が高くなればなるほど、着地時に足のぐらつきが生じ、過度なオーバープロネーションになるリスクも高いのではないかと思います。
さらに、シドニー五輪女子マラソン金メダルリストの高橋尚子さんなど、たくさんの一流マラソン選手の靴を作ってきた元アシックスの三村仁司さんは、厚底シューズに否定的だという記事を読んだことがあります。
実際には試してみるしかないのだが・・・
ということで、厚底のマラソンシューズに否定低な僕ですが、実際のところどうなのよという興味は尽きません。
で、実際にこの靴を入手して試してみたいところですが、現在品薄状態で7万円なんてプレミアが付いている・・・(汗)
なので、この下位モデルと思われる、「ナイキ ズーム フライ」あたりを入手して試してみようかと思案中なんですね。
もし、入手したら、記事にしてみたいと思います。
では、今日はこの辺で。