先日、部屋を整理していたらBORN TO RUN(クリストファー・マクドゥーガル著)が出てきました。
当時、僕はこの本を読んで衝撃を覚えたのですが、今改めて読んでみると、また違った見方ができるのかもしれません。
こんどじっくり読み返したいと思います。
フォアフット着地するのは何のため?
僕は10年近く前にベストセラーとなったBORN TO RUNを読んでフォアフット着地を知りました(実際に読んだのは4年くらい前ですが)。
この本の影響で、自分が中学生のなんちゃって陸上部で走っていたことからフォアフットだったということを知りました。
BORN TO RUNとの出会いによって、ランニングにはまり、フォアフットに切り替える作業はやっていませんが、フォアフット着地を態々意識して走るようになりました。
暫くの間は、ソールが薄いシューズ、ゼロドロップのシューズ、ワラーチを履いたり、時には裸足で走ったりもしていました。
当時は、この本の影響で、フォアフット着地は“故障せずに長く楽に走れる”と信じて走っていました。
現に、フルマラソンよりも長い距離を走るトレイルランニングでは、フォアフットで走るランナーが多いといいます。
フォアフットは身体に優しい走法。
だからこそ、160キロもの距離を走り通すことができるのです。
その後、僕はアフリカ勢のランナーや、大迫選手や設楽選手など、マラソンで活躍する速い選手達は、皆フォアフットで走っていることを知ります。
そして、フォアフット走法に対するイメージは“故障しない走り方”に加え“速く走る”ことのできる走法という考えに変わっていきました。
ヒールストライクでもフォアフットでも故障する!?
BORN TO RUNでは、著者のクリストファー・マクドゥーガルさんがベアフットランニングに出会い脚の痛みが無くなった、という体験談が克明に描かれています。
しかし、現実にはヒールストライクで走る人だけが、故障しているわけではありません。
ヒールストライクからフォアフットに切り替えた人の中にも、故障した経験のある人は多いのではいでしょうか。
僕の友人にも何人か、同じ経験をした人がいます。
つまり、いくらフォアフット着地に変えたとしても、フォアフットに合ったランニングフォームに変えなければ、やっぱり故障するということでしょう。
小手先だけで通用する話しではなさそうです。
ランニングシューズは悪者か?
BORN TO RUNでは機能性に優れたランニングシューズを批判しています。
故障するのは、クッション性やヒールカップなど、様々なサポート機能が付いたシューズが原因なのだと。
人間が本来持っている走る能力は裸足で走るから発揮できるのであって、高機能なランニングシューズが走る能力を退化させたのだという説には説得力があります。
当時、僕はナイキを名指しで批判するこの本が痛快でなりませんでした。
しかし、世の中をどう見渡してみても、裸足でフルマラソンの世界記録を出すのは不可能だと思います。
ウルトラマラソンやトレイルランニングの上位選手にも裸足で走る人はいません。
さらに、BORN TO RUNで批判されたナイキは、クッション性に優れた厚底シューズによって、マラソン界を席巻しているではありませんが。
どちらが良いとか、悪いとかといった次元の話しではありません。
テクノロジーは日々進化し、人間の肉体も適応しているわけです。
その結果が、マラソンの世界記録や日本記録の更新です。
しかも、記録を塗り替えるランナー達は、皆フォアフット走法なのです。
スピードを追求した結果がフォアフット走法
マラソン日本記録を更新した大迫傑選手の影響なのか、最近またフォアフォアフット走法に注目が集まっているようです。
つい先日、日本記録を更新した大迫傑選手が某テレビの生放送に出演し、速さの秘訣としてフォアフット走法が取り上げられていました。
司会者が大迫選手にいつからフォアフットに切り替えたのかという質問を投げかけたところ、着地方法なんて気にしたことはなく、気が付いた時にはフォアフットだったのだそうです。
まるでそれは、速さを追求した結果、自然にフォアフットになっていた、と言わんばかりです。
100メートルを全力疾走してみると、だいたいの人はフォアフットになります。
陸上の短距離選手は、ほぼ全ての選手がフォアフットで走っているのではないかと思います。
短距離、中距離のスパイクシューズのソールは硬い合成樹脂製で、マラソンシューズのソールのような柔らかさはありません。
つま先で着地したと同時につま先で蹴るため、着地の時間短く、ソールの高い剛性が必要なのです。
フォアフット走法は、やはり速く走るための走法なのではないでしょうか?
最後に
フルマラソンで記録が出るのはフォアフット走法であることは、実績が証明していると言えます。
反面、フォアフット着地は鍛えられた筋力が必要であり、誰でもできる走法ではないという意見もあります。
しかし、筋力が必要な走法で、何故記録が出るのでしょうか?
フォアフットは特別な筋力が無くても効率的に速く走れる走法なのだと僕は思います。