糖質制限すると食事誘発性熱生産が特別高い?そんなダイエット効果が本当にあるのか?

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先日、ダイエットにはまっている友人との会話で、こんなことを主張していたので、これは面白い!ということで記事にしてみました。

彼の主張はこのようなことです。

「食事誘発性熱生産でどのくらいエネルギーを消費するかは栄養素の種類によって違う。タンパク質は30%、炭水化物は6%、脂質は4%で、たんぱく質は断トツだ。だから糖質制限ダイエットを行えば、食べた食事の30%がエネルギーとして消費されるから、痩せるのは当たり前。糖質制限で痩せる謎が解けた。早速糖質制限ダイエットを始めよう!」

と鬼の首を取ったようなドヤ顔で僕に話すのでした。

はたして、彼の主張は正しいのでしょうか?

食事誘発性熱生産とは

食事誘発性熱産生(DIT: Diet Induced Thermogenesis)は特異動的作用(SDA: Specific Dynamic Action)とも言われています(言葉はどうでもいいのですが)。簡単に言えば、食事をすると消化活動によって代謝が上がり、摂取した食事のカロリーの一部が熱として消費されるというものです。

前述しましたように栄養素の種類によって消費量が異なり、タンパク質は30%、炭水化物は6%、脂質は4%と言われています。

肉や魚ばかりを食べれば食事誘発性熱産生も増えるのか

確かにたんぱく質の食事誘発性熱産生は30%と炭水化物や脂質より群を抜いた数字ですよね。ではタンパク質を多く含む肉や魚ばかり食べる糖質制限ダイエットなら、食事誘発性熱生産により食べた食事の70%しかカロリーは摂取されず、残りの30%は代謝で消費してくれて、効果的なダイエットができそうですね。

しかし、よ~く考えてください。タンパク質というのはあくまでも栄養素です。例えば、今日の夕食は300gのステーキを食べたからといって、タンパク質を300g摂取するわけではありません。

牛肉もお米も食事誘発性熱産生のパーセンテージは変わらない

以下に牛肉とお米の栄養成分量と食事誘発性熱産生量を算出してみました。

牛肉100gmの食事誘発性熱産生量

 含有量(g)A:カロリー(Kcal)B:食事誘発性熱生産量(Kcal)%(B/A)
タンパク質14.457.617.2830.0%
脂質32.9296.111.8444.0%
炭水化物0.20.80.0486.0%
合計354.529.1728.2%

米150gmの食事誘発性熱産生量
 含有量(g)A:カロリー(Kcal)B:食事誘発性熱生産量(Kcal)%(B/A)
タンパク質9.1536.610.9830.0%
脂質1.3512.150.4864.0%
炭水化物115.65462.627.7566.0%
合計511.3539.2227.7%

いかがでしょうか?実はお米も牛肉もトータルカロリーに対する食事誘発性熱生産のパーセンテージは約8%とほとんど変わりません。タンパク質の方が食事誘発性熱産生は30%と高いはずなのになぜ?思ってしまうかもしれませんが、理由は一目瞭然です。

牛肉にはタンパク質の含有量は14%程度しかありません。タンパク質の含有量の多い鳥のささみでもタンパク質の含有量は20%程度しかないのです。

むしろ肉や魚には食事誘発性熱産生が4%しかない脂質をたくさん含んでいるわけですから、最終的には相殺されて10%程度になってしまいます。

このことから僕は糖質制限ダイエットを行ったからといって食事誘発性熱生産が特段高くなり、より痩せやすくなるといった考えについては懐疑的です。

焼き肉を食べに行って、カルビやはらみばかり注文すれば、脂肪ばかり摂取することになり、ご飯を中心とした日本食よりも食事誘発性熱生産は低くなってしまうかもしれません。

最後に

食事誘発性熱産生をあてにするのは、切羽詰まったボディビルダーが体脂肪率1%を気にする世界です。

摂取カロリーの10%、つまり200kcal程度の食事誘発性熱産生をあてにするのであれば、30分余計にランニングすれば簡単に消費できますし健康にもなります。

と、この話を友人にしたところ、30分の時間がつくれないほど多忙だからダイエットが成功しないのだ、と返り討ちにされ、僕は何も言えなくなりました。

確かにそうかもしれませんが、1日30分の時間で健康になれると考えれば安上がりだと思うのですが・・・。

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