自分で自分を人事異動させてしまった本当の話し

シェアする

みなさんは、もしも勤めている会社から突然辞令を言い渡され、どうしてもやりたくない仕事に就かされたらどうしますか?

  1. 我慢してそのまま働く
  2. 転職する

ほとんどの人は、1か2のどちらかを選ぶのではないかと思います。

私は、サラリーマン時代に同じ経験をしたことがあります。
しかし、私はどちらも選びませんでした。

言い渡された人事異動「ここは自分の居場所じゃない!」

私が所属していた部門は、整員100人程のベンチャー事業でした。
残念なことに、思うように業績が上がらず、事業を縮小するという噂が部門内に流れていました。

しばらくして、会社の決断がくだされました。
案の定「別の部門に吸収させて穏やかに撤退させる」ということでした。

その時に人事部から言い渡された辞令により、私は以前の仕事とは畑違いの仕事に就くことになりました。

「ここは自分の居場所じゃない」私は失望しました。

もし、ある日突然、自分がやりたくない仕事に就かされたらどうですか?
こんな苦痛なことはありません。

大きな会社ほど人事異動は盛んに行われます。
しかし、自分の希望する部門や仕事に異動できるとは限りません。

人事異動とは、時として自分の意志とは関係なく行われるものなのです。

私のとった行動、それは社内転職

私は会社の人事異動に不満はありましたが、転職は全く考えませんでした。
なぜなら、会社の中には、自分のやりたい仕事が幾つも存在したからです。

「何が何でも異動してやる!」

私は、一日でも早くこの部門から脱出して、自分のやりたい仕事に就くために、裏工作を始めたのです。

私は、さっそく異動したい部門に目星をつけ、その部門を統括するA部長のもとを訪ねました。

A部長と会うなり、「私を引き取って欲しい」と懇願しました。
今考えれば、あまりにも唐突なことだったと思います。

もちろん、良い返事をもらうことは出来ませんでした。
私は諦めずにA部長のもとを度々訪れ、あの手この手で自分をPRしました。

結局A部長は根負けし、私を引き取ってもいいという返事をもらうことができました。
しかし、難関がもう一つ待っていました。

A部長は、言いました。
「私がいくら君を引き取ると言っても、今君が所属している部門のB部長がNOと言えば、君は異動することはできないよ。」

そうなのです。
次はB部長を説得しなければなりませんでした。

さっそく、B部長に会いに行きました。
ところが、難航するかに思えた交渉が、すんなりとOKがもらえたのです。

B部長は「行きたい部門の部長を口説き落とした熱意に負けたよ」とのことでした。

その後、私は、めでたく希望する部門に異動することができました。

ここまで辿り着くのに、3か月程かかったと記憶しています。
今考えてみれば、実に破天荒な行動だったと思います。

社内転職を成功させたポイントとは

さて、私が自分の意思で人事異動できた要因は何なのか、今一度考えてみたいと思います。

1. 人の心を動かした

前の項目で、A部長は根負けしたと前述しました。
私の受け入れを承諾したときには渋々とした態度だったのでそう書いたのです。

しかし、後日A部長からは言われたことは「君の情熱が気に入った」という言葉でした。
私はA部長の心を動かすことができたのです。

2.私の仕事の能力が認められた

成功の要因はそれだけではありませんでした。

私は、A部長と交渉している間でも、やりたくない仕事だからといって、仕事を放り出していたわけではありません。
期待を超える結果をだして、B部長から信頼を得ることができていたのです。

だからこそ、B部長の快諾が得られたのです。

そして、これも後日談になります。
たったの3カ月しか在籍しなかった部門なのに、送別会を開いてもらった時の話です。

B部長によると、A部長から度々連絡が入っていたそうです。
つまりA部長からB部長あてに、私に対する素行調査が入っていたのです。

B部長はA部長に、このように答えたそうです。
「○○君は我々にとって必要な人材です。しかし本人がA部長のもとに異動することを強く希望するのであれば、その気持ちを尊重します。」

もし、B部長から私の仕事ぶりに対するお墨付きを得られなければ、A部長は私を引き取ることはしなかったでしょう。

3. キーマンを探し、キーマンと交渉する

私は、人事部の知り合いを通して、人事異動がどのようにして行われるのかということを徹底的に調べました。

まず、人を動かす人事権を持つ決裁者が誰なのかといことです。
私が働いていた会社では部長職以上が人事権を持っているということでした。

もしこのことを知らなければ、A部長ではなく、その下の係長や課長に交渉していたかもしれまません。
交渉相手を間違えてしまっていれば、遠回りし、交渉がまとまる確率が低くなってしまったことでしょう。

4.物事が動く仕組みを理解しておく

部長が人事権を持っていることを知ったとしても、人事異動がどのようにして行われるのかを知っておく必要があります。

何故なら、会社という組織では、物事を動かすためのルールや仕組みが存在するからです。

私が働いていた会社では、出す側(異動元の部長)の決裁と、受け入れる側(異動先の部長)の決裁が無ければ人事異動が成立しないということ知りました。

人事部は、あくまでも仲介的な立場にしかすぎないということなのです。

ですから、私が異動するための条件は、A部長とB部長双方の合意が最低限必要ということになります。

物事を動かそうとした場合、その仕組みやルールを事前に調べて理解しておくことがとても重要なのです。

5.キーマン以外も巻き込む

キーマンが最も重要な交渉相手なのは言うまでもありませんが、キーマンだけに接触していればいという訳ではありません。

私はA部長の部下にも積極的に接触しました。
最初は個人的に仲良くなり、仕事上で協力できそうなことがあれば積極的に協力したり、仕事を手伝うこともありました。

いずれ、A部長の部下からは、私のことを必要な存在として認められ、私の異動を後押してくれるようになりました。

この経験が教えてくれたこと

最後に、私が社内転職を成功させたポイントを再度確認してみましょう。

  1. 人の心を動かした
  2. 私の仕事の能力が認められた
  3. キーマンを探し、キーマンと交渉する
  4. 物事が動く仕組みを理解しておく
  5. キーマン以外も巻き込む

この中で、違和感のあるポイントがあることに気が付きませんか?

それは、「人の心を動かした」という、なんとも曖昧なフレーズです。

人の心を動かすって何でしょうか?
それは「情熱」だと思うのです。

会社では常に「論理的思考」で仕事を進めるようにトレーニングされました。
そして、「論理的思考」には、「人の心を動かす」とか「情熱」なんていう理屈は存在しませんでした。

何かを動かそうとするときには「論理的思考」に基づいて行動することはとても重要だと思います。
そして、そこに「情熱」というスパイスを加えることによって、さらに大きなことも動かせるのです。

スポンサーリンク
336×260
336×260

シェアする

フォローする

スポンサーリンク
336×260
TOPへ