マスクランニングで高地トレーニングや低酸素トレーニングの効果があるのか考察しました

シェアする

はじめに

ランナーのみなさん、こんにちは。

新型コロナウイルス騒動の中、いかがお過ごしでしょうか?

飛沫拡散を防ぐためにマスクやBUFF(バフ)を着けて走るランナーが増え、僕もそんな同調圧力に負けてBUFFランしています。

しかし、これが息苦しいんですよ。

これだけ苦しいと、酸素が十分に供給されていないのではないか?と、ちょっと不安になってしまいます。

巷では、マスクを着けて走れば高地トレーニングや低酸素トレーニングの効果が期待できるなんていう噂も飛び交っているようですが、実際はどうなんでしょうかね?

僕としても、これだけ苦しい思いをして走っているのですから、マスクランニングによってパフォーマンス向上を期待したいところなんですけどね、、、

ということで、今回はマスクやBUFFを着けて走ることで、高地トレーニングや低酸素トレーニングのような効果があるのかどうか考察してみましたので、そうぞ最後までお楽しみいただければ幸いです。

高地トレーニングと低酸素トレーニングについて

まずは、高地トレーニングや低酸素トレーニングとはどのようなものなのか簡単におさらいしてみましょう。

僕が高地トレーニングと聞いて思い浮かぶのはアメリカはコロラドにあるボールダーという高地(標高約1,600)。

高橋尚子さん、野口みずきさん、有森裕子さんなどがトレーニングを積んでいた場所としても知られています。

では何故そんな高い場所でトレーニングする必要があるんでしょうか?

標高が高い場所では、空気中の酸素密度が低くなります

そんな場所に人間が行くと血中に取りこまれる酸素濃度が低下してしまい、持久力などの運動能力は低下してしまいます。

ところが人間の体というのはよく出来ていて、そんな場所でトレーニングを行うことで、低酸素の状態に適応してしまう素晴らしい能力を持っています。

具体的にはVo2max(最大酸素摂取量)の向上がみられるとのこと。

高地トレーニングを積み重ねて体が適応してしまえば、酸素密度が高い低地に下りた時に高いパフォーマンスが発揮できると言う訳です。

ちなみに高地トレーニングに最適な標高は1,500m~2,000mと言われており、標高が高すぎれば高山病などのリスクが高くなり、低すぎても効果がでにくいと言われています。

私事ですが、毎週のように南アルプスの甲斐駒や八ヶ岳の赤岳などの3,000m級の山々をトレランする日々を続けていた時期がありましたが、この時の持久力向上には目を見張るものがありました。

また、アンデスやヒマラヤなどの高地に住む人々が優れた心肺機能を持っていることは広く知られています。

高地まで行かなくても高地トレーニングは可能

そんな優れた高地トレーニングですが、実は態々遠くまで出かけなくても、高地と同じ気圧を人工的に再現した低圧室で、同じ効果を得ることができるそうです。

その施設は潜水艦のような非常に大がかりで高価なものとなりますので、大学など研究機関にしかありませんが、今後は小型化されて誰でも利用できるようになる可能性があります。

箱根駅伝でも活躍している東海大学は、大学の研究室に低圧室があり、選手たちは低圧室でのトレーニングを行い大きな効果を得ているるといいます。

 東海大には、大学にいながら標高4000メートルの高地トレーニングを行える低圧室がある。13年に大学の「箱根駅伝支援プロジェクト」として本格的に導入され、気象… - 日刊スポーツ新聞社のニュースサイト、ニッカンスポーツ・コム(nikkansports.com)
 箱根駅伝は、スポーツ科学の力も借りた戦いだ。11月の全日本大学駅伝で2位の東海大、昨季の全日本を制した神奈川大、今年度の学生駅伝3冠と箱根5連覇を狙う青学大の取り組みを追った。 東海大が取り組むのは…

また最近では、低酸素の空気を人工的に作り出した部屋の中でトレッドミルなどのフィットネス器具を備えたスポーツジムが増えつつあります。

僕が知っている低酸素室の老舗は三浦ドルフィンズでしょうか。

主にはエベレストなどの超高度登山への高度順応トレーニングとして知られています。

ミウラドルフィンズのサイトです。三浦雄一郎と三浦豪太が提供するアンチエイジング、低酸素トレーニングプログラムを始め、冒険スピリットを後世に伝えるためのキッズキャンプも行っております。講演・取材依頼などもお問い合わせ下さい。

また、アシックスが低酸素トレーニング施設を始めたことは記憶に新しいですよね。

次々とスポーツ施設に導入される低酸素施設ですが、低圧室との違いは、気圧が平地と変わらないため高地での体調不良のリスクが小さく、安全性も高いと言われています。

ちなみに、低酸素の環境をつくるためは、低酸素発生装置低酸素室などある程度大がかりな装置や施設が必要になります。

目的に合わせた高地環境の提供が可能な、低酸素(高地環境)トレーニング室を紹介しています。

エベレストでも酸素濃度は変化しない

ちょっと豆知識的なお話しになります。

実は、僕達が普通に呼吸している空気=酸素と思っている人が案外多いのかもしれませんが、空気の成分は窒素78%、酸素21%、その他1%がアルゴンや二酸化炭素という割合になっています。

よく、富士山やエベレストなどのような高い山では酸素が少ないなどと言われていますが、実際には地上から100kmまでの上層までこの比率は変わらず、酸素が少なくなるわけではありません

また、高いところに行くと酸素濃度が低くなるという表現ですが、濃度は成分の割合を表していますから厳密には間違いになります。

では、なぜ高いところに行くと低酸素の状態になるのでしょうか?

それは気圧、つまり空気の圧力が小さくなることによって、空気の密度が低くなるだけなんです。

マスクをすることで低圧・低酸素状態を再現することができるのかという考察

ここまで簡単ではありますが、高地トレーニングや低酸素トレーニングについて書いてみました。

いずれも、低酸素の状態を再現するためには、大がかりな施設や装置が必要だということがお分かりになったのではないでしょうか?

なので、マスクを使用しただけで高地トレーニングや低酸素トレーニングの効果があるのかどうかなんて、答えが出てしまっているようなものですが、、、

それを言ってしまうとこの記事は成り立たなくなってしまうので、もうしばらくお付き合いくださいね。

マスクの中で高地と同じ状態をつくりだせるか?

理論的にはマスクの内側を高地と同じ気圧にすれば高地と同じように酸素密度が低くなりますので、高地トレーニングと同じ効果が得られることになります。

ちなみに、標高0mの場合1気圧1,013hPaで、標高が1,000m高くなるにつれて気圧は約100hPaずつ低下します。

前述した標高1,600mのボールダーでは853hPaで約0.8気圧で、酸素濃度も8割程度になります。

つまり、マスクの内側を853hPaにすればボールダーと同じ環境が作れるわけですが、、、こんなこと真剣に考えるまでもなく不可能なことは誰にでもわかりますよね。

低圧室を潜水艦のような施設と前述しましたが、気圧をコントロールするというのは、それだけ密閉された施設が必要になります。

つまりマスクというのは、紙や布でできていますから、空気は筒抜けで気密性を確保することなんてできません

それに、仮に密閉できるマスクを使ったとして減圧装置をどうするかという問題もあります。

なので、マスクで高地と同じ状態を再現することは不可能で決定です。

マスク内を低酸素状態にすることは可能か?

では気分を変えていきましょう。

マスク内を低酸素状態にするにはマスク内に低酸素の空気を送り込むことで可能となりますが、ここでも紙や布のマスクがネックになります。

やはり、外気と遮断することができないので低酸素の空気を送り込んでも外気と混ざってしまいますから、低酸素の状態を維持することはできそうにありませんね。

それに、低酸素を作り出す器具はそんなに簡単なものではありません。

低酸素空気をつくりだす高分子フィルターやそこに空気を送り込むコンプレッサーなどの装置が必要です。

実は2011年にラグビー日本代表選手が、低酸素の空気をマスクに送るATSと言われる装置を導入しトレーニングしたことが報じられています。

この記事に掲載されている画像を見るとマスクにホース付いていることが確認できますが、低酸素を送り出す装置に繋がっていることが容易に想像できます。

まぁ一流のアスリート達を見習えばわかりますよね。

マスクを着けてトレーニングやっているの見たことありませんから、、、

マスクをして息苦しいのは呼吸筋が頑張るから?

さて、ここまでの考察によれば、やはりマスクに高地トレーニングや低酸素トレーニングのような効果がないことは明らかと思えるのですが、それでも”もしかして?”と望みを持ちたいのが人間というものです。

だって、マスクをすると息苦しさが増すのだから、酸素不足になっているに違いないと誰でも考えそうなことです。

ですが、この問題はある大学の論文によって明らかにされています。

結論は、「サージカルフェイスマスクで呼吸制限をした状態としていない状態でトレッドミルで漸増負荷試験を疲労困憊まで走行した結果、酸素摂取量と心拍数に有意差は無かった」というもの。

つまり、酸素摂取量に有意差が無いとう点は、高地トレーニングや低酸素トレーニングのような効果は期待できないということになります。

そして、マスクを着けることによる息苦しさ、についても明らかになっています。

それは、「サージカルマスクで呼吸制限を行うと換気、呼吸数および酸素換気当量が有意に低下し、一回換気量は有意に増加した」というもの。

つまり、マスクをすることで呼吸抵抗が大きくなり、必要量の酸素を確保するために、呼吸筋が頑張って活動しているというだけの話し。

ちなみに僕もマスクランニングの最中は明らかに深い呼吸と呼吸回数が少なくなっていることを実感しています。

マスクをしてランニングすれば呼吸機能を向上させる効果はある

では、マスクをして走ることに何のメリットもないのかというと、そうでもないようです。

論文によれば「マスクを使用することによって呼吸筋の活動を活発させて気道抵抗が増加することにより、呼吸を確保するために一回換気量を増加させ呼吸の効率を増加する働きが増し、持久力向上の効果があると考えられる」というもの

詳しくはこちらの論文をご覧ください

https://www.toyo.ac.jp/uploaded/attachment/8377.pdf

ただし、マラソン選手など呼吸筋機能の強化が、どれだけ持久力向上に貢献できるのか分かっていないことが多いそうですが、全くの無意味ではないと願いたいところです。

低酸素状態でも呼吸抵抗は感じない?

ちょっと逆説的は考察になるのかもしれません。

つまり、本当の低酸素状態でマスクをしたときのような息苦しさを感じるかどうか?という考察です。

僕自身、過去に体験した最も高い登山は富士山です。

他に、3,000m級のトレイルランニングなら、北アルプス、南アルプス、八ヶ岳も走りました。

もちろん、2,000mを過ぎたあたりからパフォーマンスの低下を感じます。

分かりやすい言えば、平地では8割の力で4分/キロのペースで走れていたものが、2,000メートルの高地で同じ8割の力で走ると5分/キロのペースに落ちてしまうといった感じになります。

ですが、マスクをして走るような息ぐるしさはなく、地上と同じようにいくらでも呼吸することはできます。

また、僕の知人がエベレスト登頂にチャレンジした時の話しによれば、彼は途中で6,000mのC1キャンプで体調不良で敗退したそうです。

6,000mの高所になると酸素密度は半分以下となり、人間が順応できない高度と言われています。

友人曰く、体には十分な酸素が取り込めないため、倦怠感、頭痛、食欲不振など高山病の症状が出るものの、マスクをしたような息苦しさというものは感じなかったそうです。

言いたいのは”低酸素状態だからと言って必ずしも息苦しさを感じることはない”ということです。

低酸素トレーニングマスクの効果

さて、普通のマスクをしても低酸素トレーニングのような効果は得られないということが、確信的となってしまいましたが、実はこんなものが世の中にあるのごご存じでしょうか?

僕はこの商品を買って試したわけではありませんが、商品のイメージ画像や説明を見る限り紙や布製のマスクよりは気密性は高そうです。

マスクにはバルブ?のようなものが付いていて、換気はこのバルブで行っているものと思われます。

もしこのマスクで酸素濃度をコントロールするならば、酸素分子をフィルターにかける装置などが必要と思われますが、見るからにそのような機能は持っていないように見えます。

前述しましたように、低酸素を発生させる装置は、かなり大がかりなものですから、これを小型化して実装するにはかなりのコスト高になるはずです。

また、ここからがこのマスクの突っ込みどころなのですが、商品説明には”自身が吐いた呼気を再度吸うことによる「低酸素状態」での運動を実現”とうたっていますが、これにもかなり無理があるような気がします。

というもの、この方法を実現するとなると自分が吐いた呼気を貯めておくスペースが必要になります。

何故なら、人間は1回の呼吸で出入りする空気量が450ml~500mlとペットボトルほどの容量があり、しかも運動中は呼吸回数も大きくなります。

この商品を見る限り、自分が吐いた呼気を貯めておくスペースはそれほどなく、殆どはマスクの外の空気を吸気することになるのではないかと思われます。

仮にマスク内の2酸化炭素濃度を高くする仕掛けがこのマスクに付いていたとすれば、これは危険な代物となる可能性があります。

例えば、標高1,600mの酸素濃度約16.8%になるように、二酸化炭素の濃度を高くした場合、42,000ppm(4.2%)の二酸化炭素濃度が必要になります。

実はこの42,000ppmの2酸化炭素濃度というのは、非常に危険な状態で、呼吸困難、頭痛、吐き気、弱い麻酔性、視覚の減退、血圧や脈拍が上昇するレベルとなります。

高地での酸素や2酸化炭素の状態というのは、前述しましたように気圧が低くなり空気密度が低くなった状態であり、2酸化炭素も同時に密度が低くなる状態です。

2酸化炭素の濃度が高くなることはありません。

もし本当にこのマスクに二酸化炭素の濃度が高くなる機能が備わっているのであれば、健康被害を訴える被害者が続出してPL法に引っ掛かり販売できない商品になっているはずです。

そうなっていないということは二酸化炭素の濃度を調整するような機能は備わっていないということになり、同時に低酸素状態にもならないということになります。

いずれにしても、このマスクは紙や布でできたサージカルフェイスマスクと原理的には大差はなく、メリットとしては呼吸負荷の強さを段階的にコントロールできたり、繰り返し利用できる利便性、あとは見た目が良くなるといったところでしょうか。

結論

  • マスクランニングに高地トレーニングや低酸素トレーニングのような効果はない
  • 呼吸筋を鍛える効果はありそう(持久力向上にどれだけ貢献するかはわからない)
  • 低酸素トレーニングマスクにも高地トレーニングや低酸素トレーニングのような効果はない

おわりに

マスクランニングを始めて1か月を経過しましたが、新型コロナウイルスによる自粛が無くなれば、マスクランニングはやめようと思っています。

これが、僕の答えです。

それは、マスクランニングでパフォーマンスが向上したという効果が感じられないからです。

3,000メートル級の山々を走っていた時は、明らかに効果を感じましたから、その違いは明らかです。

最初からネタバレしているのに、ああだこうだと屁理屈を書いただけな気がしていますが、まぁ自粛中の暇つぶしということでご容赦ください。

スポンサーリンク
336×260
336×260

シェアする

フォローする

スポンサーリンク
336×260
TOPへ