つい先日、9月16日にフルマラソンの世界記録がエリウド・キプチョゲ(ケニア)によって更新された。
記録は2時間1分39秒。
2時間の壁を切るのは時間の問題であろう。
はもはやマラソンは長距離ではない、スプリントレースである。
先日、筋肉には大きく速筋と遅筋の2種類が存在し、マラソンのような持久系のスポーツでも、記録を伸ばしたければ速筋を動員しなければならない、みたいな記事を書いた。
しかし、速筋は歳を重ねるごとに衰えていく。
特に40歳を過ぎると顕著になるという。
オッサンにとっては、実に残酷な話しのように思えるが、そうでもないらしい。
マラソン大会の会場に行けば40代や50代のランナーは大勢いる。
トレランなんて、40代、50代なんてボリュームゾーンのど真ん中の激戦区だ。
つまり、速筋が衰えて速いスピードが持続できなくても、長い距離をコツコツと走りきることはできるのだ。
UTMBというモンブランを取り巻く山岳地帯を走る有名なトレイルランニングレースがある。
100マイル(169.4km)を制限時間46時間30分で走る。
しかも累積標高差はエベレストよりも高い9,889mいう過酷なレースだ。
2008、2009年にUTMBを連続優勝したマルコ・オルモという選手は当時57歳、58歳だった。
同じUTMBで日本人最高位の3位に入賞した鏑木さんは当時40歳で、50歳を迎える2019年に再度UTMBにチャレンジするという。
歳をとると、なぜフルマラソンよりも長い距離を走るようになるのか?
いや、走れるようになる、と言った方がいいのかもしれない。
枯れてくると不思議と2時間や3時間で、あっという間に終わるランニングでは物足りなくなる。
そして、6時間、いや一日中でも走りたくなる。
なぜなのだろうか?
話しは戻るが、歳をとって衰えた速筋はどうなってしまうのだろうか?
一説には遅筋をつかさどる神経が、衰えた速筋を支配するようになるらしい。
つまり遅筋化されるということだ。
枯れてくると、ゆっくりと、長い時間をかけてどこまででも走りたい、そんな欲求が生まれる。
それは、家族を養うために鍛えられた忍耐力と、より優れた持久力を与えられたからなのだ。
そして、サブ2がなんだ?と強がりを言いながら、今日もオッサンは走るのだ。