という相談を知り合いの女性から受けました。
答えを先に言いますと「嘘」です。
その話の出どころは、やはりアレでした。
ネットからの情報とのことでした。
のちに、「ランニング ダイエット」でWeb検索してみたところ、何これ?と言いたくなる記事がたくさんでてきました。
確かに「ランニングを初めて脂肪燃焼し始めるのが20分以降」とか「運動を始めてから20分までは、食事で食べたものがエネルギーとして使われ、20分以降から脂肪がエネルギーとして使われます」といった、おバカな記事がわんさか出てきてしまったことに、驚きを隠せませんでした。
他にもランニングとダイエットに関して、誤解を与えてしまうような記事や、あきらかに嘘と突っ込みたくなる記事がいくつかあったのですが、今回はこの「20分走らないと脂肪は燃えない説」に焦点を絞って、私エノカツが斬ってみたいと思います。
運動におけるエネルギー消費
まずは人のエネルギー消費について学習しておきましょう。
詳しくは書ききれないので、あくまでも簡単にさらっといきます。
人のエネルギー消費には糖質と脂肪が使われます。
(グリコーゲンとかグリセロールとか遊離脂肪酸とか専門用語とか複雑仕組みとかありますが、ここでは割愛し、便宜的に糖質と脂肪で説明させていただきます)
糖質は主に肝臓や筋肉内に蓄えられており、一般成人男性なら肝臓に100~120g、筋肉に300g前後で、エネルギー量としては1,500~2,000kcalしかありません
これは成人男性が普通に生活しても一日で枯渇してしまう程度のエネルギー量となります。
脂肪は皮下脂肪や内臓脂肪などの体脂肪として蓄えられており、体重70kgで体脂肪率20%の場合、約100,000kcalものエネルギー量にもなります。
仮にフルマラソンなら40回も走れる計算になります。
さて、運動には大きく無酸素運動と有酸素運動に分けられます。
無酸素運動は100メートル走や筋トレなど短時間で大きな力を出す運動で、主に筋肉に含まれる糖質がエネルギー源として使われます。
有酸素運動はランニングや自転車、水泳などのように軽中程度の力で長い時間続けられる運動で、糖質と脂肪の両方がエネルギー源として使われ、運動時間が長くなるほど脂肪をエネルギーとして使う割合が高くなります。
脂肪は常に燃えている
人は生きている限り常にエネルギーを消費しています。
朝起きて寝るまでの活動中だけではありません。
寝ている間にもエネルギーを消費して生きています。
糖質や脂肪は人が生きている限り常に消費され、消費された分は全て食事で補われます。
このような一連の働きを代謝と言います。
そして私たちの体は意識せずとも心臓や肝臓などの内臓が常に活動しエネルギーを消費しています。
このエネルギー消費には主に脂肪が使われています。
また脳の働きには糖質が使われます。
つまり、私たちの体はじっとしていても、ランニング中でもランニングをしていなくても常に脂肪と糖質がエネルギー消費に使われているのです。
このことから、「ランニングで20分以上走らないと脂肪が燃えない」という表現は適切ではありません。
脂肪は走りだした直後から燃えている
有酸素運動であるランニングでは糖質と脂肪が使われる割合が継続時間によって変化します。
簡単に説明すると
ランニングを始めた直後は、糖質→大・脂質→少
ランニングを続けるうちに、糖質→少・脂質→大
と変化していきます。
その理由は、脂肪がランニングのような大きなエネルギー消費に使われるまでに時間がかかるためで、脂肪を主に使いだすまでに20分かかるからなのです。
決してランニングを開始して20分経って脂肪の燃焼が始まるわけではありません。
ゆるやかに脂肪を使う比率が増えているのです。
では20分以下のランニングはダイエット効果が無いのか?
脂肪が十分に燃焼されるまでに20分程度の時間を要するのは間違いありません。
では、20分しかランニングできなかった場合、ダイエットとしての効果は無いのでしょうか?
消費カロリー>摂取カロリーの条件を満たしていれば20分のランニングは決して無駄にはなりません。
たとえランニング中に脂肪が少ししか燃えなかったとしても、不足したカロリー分の脂肪は運動後しっかりと燃焼するからです。
もう少し詳しく説明します。
前述したとおり脂肪は安静時であっても分解→燃焼→合成を繰り返しています。
したがって運動後であっても、最終的に消費カロリー>摂取カロリーの状態であれば不足したカロリーの分だけ脂肪が燃焼されるのです。
逆にカロリー過多となれば、分解された脂肪は燃焼されずに体脂肪に戻されることになります。
よって、脂肪が減るかどうかは運動中の脂肪燃焼量だけで決まる訳ではなく、トータルの摂取カロリーと消費カロリーのバランスで決まることをしっかり頭に入れておきましょう。