ランナーズハイという言葉を聞いたことのある人は多いと思います。
走り出して暫らく経つと気分が良くなり、どこまでも走っていけるような高揚感を味わうことらしいんですね。
しかし、これは本当のランナーズハイではない、という説があります。
走り出して10~20分程度で現れるランナーズハイと呼ばれるこの現象は、単に走ることに体が慣れてきた状態であり、ランナーズハイとは違うとは全く違うというのです。さらに、フルマラソン程度の距離や時間ではランナーズハイは現れないと言われています。
確かに、僕自身も軽快に走るジョギングする程度なら10~20分程度で気持ち良くなる感覚は僕も何度も経験していますが、レースのように序盤からハイペースでスタートするような走り方では、気持ち良くなるなんていう状態は程遠く、終始地獄のような苦しい状態が続くんですね。
そういえば、あの瀬古さんがランナーズハイを味わうような走りはダメ、みたいなことをテレビで言っていたような気がします。
では、本当のランナーズはいとは、どのようなことなのでしょうか?
僕の友人に100マイル(160km)や200マイル(300km)といった、ウルトラトレイルレースを何度も走った経験を持つランナーが数人いますが、彼らはが経験した極限状態にヒントがありそうです。
160キロや300キロといった想像を絶する距離になると、体力の限界が何度も訪れるといいます。足腰はもちろんのこと全身に疲労が蓄積し「もう一歩も走れない」といった状況を、何度も乗り越えることによって、身体も精神もある種の陶酔状態に入り「何も感じなくなる」というのです。
そして、1人で淡々と山の中を走っていると、耳元で誰かが話しかけてきたり、木や岩が人に見えたりと、幻聴や幻覚が現れることもあるのだそうです。
トレイルランナーのレジェンド鏑木毅さんは、フランスのアルプス100マイル(160キロ)走るUTMB(Ultra-Trail du Mont-Blanc)というトレイルレースで、幻聴や幻覚のような経験を著書の中で語っています。
僕の友人であるトレイルランナーや元ウルトラランナーも、体力の限界を何度も超えた状態で、幻覚や幻聴を経験したと語っています。
本物のランナーズハイとは、選ばれたランナーにしか経験することができない未知の世界なのかもしれませんね。
もちろん、僕は未経験。いつかは経験してみたい境地であります。