ランニングをされている人ならフォアフットランニングやヒールストライクランニングという走法をご存知だと思います。
フォアフットはつま先から着地する方法で、ヒールストライクは踵から着地する方法です。
近年、フォアフットvsヒールストライクという論争がありますが、僕はどちらが正しいといった考えはどうかと思います。自分に合った走り方でOKなのではないでしょうか。
僕は物心ついたときからフォアフットで走っていた
僕は中学生の3年間は陸上競部の長距離を走っていましたが、ぱっとした成績は残せませんでした。2kmを6分後半で走っていました。6分30秒を切るタイムが県大会に出場できる最低ラインだったのでわずかに届かず、成績を残せなかった自分には才能が無いと諦めて、陸上は中学で辞めてしまったのです。
ノスタルジックな話しは別の機会にでもお話しするとして、言いたいことは当時から僕はフォアフットで走っていたということです。当時僕が履いていたランニングシューズは今のように靴底が厚いものではなく、地下足袋とか上履きのように靴底がペラペラなオニツカのシューズでした。同じ陸上部員にはナイキのクッションが厚いラインニングシューズを履いている者もいましたが、僕には高くて買うことができませんでした。
かといって、クッションのあるシューズを必要としていた訳でもありません。小学生の時から学校の校庭を裸足で走りまわってばかりいた僕は、つま先から着地する走り方が自然に身に付いていたのでしょう。ナイキはカッコいい憧れの靴でしたが、僕が必要としていた靴ではありませんでした。
それに僕は他の陸上部員と比べて背が低い方でした。長身で細身、バネを活かし長いストライドで走る選手が多かったため、バネが無く足が短い僕がそういった選手に着いていくには、上下動を抑えて前へ前へと体重移動する走り方をするしかありません。これがフォアフットランニングに導かれたもう一つの要因だったように思います。
フォアフットvsヒールストライクの構図は正しいのか?
僕はつま先着地と踵着地の違いは単なる走り方の違いだと思っていました。ところが、数年前にベストセラーとなった「BORN TO RUN」や「42.195kmの科学」などでフォアフットが脚光を浴びて少しびっくりしました。
「BORN TO RUN」ではヒールストライク=怪我のもとで、フォアフット=人間本来の走り方、という構図は目から鱗が落ちるような衝撃でした。でも僕の周りには100マイルをヒールストライクで走りきる猛者もいますし、フォアフットもいます。
また、「42.195kmの科学」では当時世界記録保持者のマカウ選手の走りを分析したところ、つま先から着地していたという内容を読んで、これまた驚きました。アフリカの選手は全てバネを活かして走るストラド走法だと思っていたからです。僕はストライド走法=かかと着地、ピッチ走法=つま先着地、というふうに考えていたのです。マカウ選手はストライド走法とピッチ走法の良いとこどりをしているのではないかと思います。これは、マカウ選手に限らず今のアフリカ勢、世界のトップの走りに共通する傾向なのでしょう。
また、今年の世界陸上女子マラソンで「忍者走り」という走法が脚光を浴びた安藤友香選手や清田真央選手の走りをスロー画像で確認してみるとフォアフットで走っていますし、僕は得に真新しい走り方には見えません。昔ながらのピッチ走法なのかなと・・・。やはり小柄な日本人に合った走り方で、言いとか悪いとかいう話しではない気がします。
踵着地もつま先着地も結果論ではないか
結局のところ、つま先から着地するか、かかとから着地するかといった違いは走りの個性の違いがそうさせているのではいでしょうか?僕はつま先着地で走ろうと意識していた訳ではありません。パワーが無いから、重心を前に効率的に移動させるために、そうなってしまっただけなのです。
パワーで押していく走り方はヒールストライクになり、省エネ的な走りはフォアフットになってしまった、これは結果論でしかありません。
ちなみに僕は大半をフォアフットで走りますが、時々状況に応じてヒールストライクぎみで走ることがあります。うまく説目できませんが、その方が速く効率的に走れると体が勝手に判断してのことだと思います。
またフォアフットで走っていれば故障しないという理屈も違う気がします。走るスピードが速くなり距離が伸びれば、相対的に故障しやすくなりますし、フォアフットで走っていれば何をやっても故障しないということは無いと思います。フォアフットでもヒールストライクでも正しいフォームがあり、間違ったフォームもあります。どちらも間違ったフォームで走っていれば故障しやすくなるのは当たり前です。
フォアフットとヒールストライク、どちらが良い悪いという問題ではなく、その人の走りのスタイルで決まるような気がします。