はじめに
上手なスキーヤーほど前傾過多の癖が強い傾向にあるような気がします。
後傾癖よりも前傾過多の方がマシ、と思われがちですが実はそうでもなかったりします。
というのも自分が前傾過多になっていることを自覚できていない場合が多く、これが上達の大きな妨げになっているからです。
前傾過多の症状と弊害
スキー滑走において以下のような感覚が強い人は前傾過多の可能性があります。
- 足裏の母指球に荷重する感覚が強い
- ブーツのタンを脛で潰す
- ブーツの中で踵が浮いている感覚がある
- タンに寄りかかって滑る
- 外スキー荷重が強い
- 太腿が起きてしまう
また、以下の症状が出る人も前傾過多が原因である可能性があります。
- コブの凸でつまずいたり、つまったりすることが多い
- スキー全体をたわませることができない
- スキーのテールがずれやすい
- 内スキーのアウトエッジが使えない
- ローテーションする
- ターン後半に板が走らない(抜けが無い)
- 滑りが軽い、重みがないなどと言われる
これらの弊害は、前傾過多によって引き起こされる場合があるので、要注意です。
正しいポジションとは
簡単に言えば足裏全体で踏めるポジションということになります。
結果としてスキーブーツの前にも後にも寄りかからない状態になるかと思います。
今まで前傾過多の癖があった人は、ブーツの位置が頭の位置より前に感じられ、少しお尻が落ちて腰が低くなり目線が低くなるはずです。
また、板全体をたわませることに慣れていないため、板が重く(雪面抵抗が大きく)感じられるかもしれませんが、これは正し反応です。
さらに、内足のアウトエッジへの荷重が行いやすくなり、舵取りの安定度も高くなります。
昭和スキーヤーほど前傾過多の傾向が強い
前傾過多の癖が強いスキーヤーの多くは昭和世代、つまりカービングスキーが出る以前からスキーをしていた世代に多いような気がします。
というのも、当時は母指球に荷重ポイントがあり、スキーのトップやビンディングのトゥーピース付近を抑えるように体重をかける、といったような考えが当たり前でした。
当時は、指導者もそうですが、スキー雑誌や、デモンストレーターやワールドカップレーサーが、そう言っていたわけで、決して間違ったことではありませんでした。
また、カービングスキー以前のスキーブーツは、今のスキーブーツよりも踵の位置が高く前傾角がきつくついていて、履いただけでつま先寄りに荷重するようになっていたくらいです。
ところが、カービングスキーが一般的になると、スキーへの荷重は足裏全体で行った方が合理的になったんですよね(詳しくは別の記事にしたいと思いますので、ここでは割愛します)。
そんな時代にスキーをしてきた世代(僕も含め)ほど、未だに前に荷重するという思い込みや癖が抜けていない、と言えるのではないかと感じています。
おわりに
カービングスキーが普通になって暫らくの間、僕は大きなスランプに陥った経験があります。
つまりカービングスキーに馴染めなかったわけですが、このスランプから抜け出すきっかけになったのが、“前傾過多“の癖に気が付いたことでした。
当時はとにかく前に乗っていくことが正しいと信じ切っていたので、このことに気が付くのに時間がかかったものです。
上達に伸び悩んでいるスキーヤーの方は是非、前傾過多を疑ってみてください。
ちょっとだけ、スキーに荷重するポジションを変えるだけで、目の前の霧が晴れるかもしれませんよ!
では、今日のところは以上です!