知り合いからこんな質問を受けました。
「登山のトレーニングで毎日ウォーキングを始めようと思っているんですが、効果はありますか?」
といった内容です。
登山は基本的には有酸素運動なので、トレーニングとしては同じ有酸素運動を行うことは間違ってはいませんが、はたしてウォーキングがトレーニングになるのでしょうか?
僕は登山の時も必ず心拍計に様々なデーターを残すようにしているのですが、登山中の心拍数を確認してみると、最低でもジョギング程度の負荷が常にかかっています。
また、歩くペースやザックの重さ、登山道の斜度によって、心拍数の上がり具合は随分変わります。また、3,000メートルを超えるような高高度の登山では酸素が薄くなるため、平地に比べて心拍数も高くなり、場合によっては強度の高い運動はできなくなります。
富士山の頂上付近で重いザックを背負った状態では、最大心拍数の80%を超えることもありました。
さらに、登山は普通のランニングとは違い、1日に5~6時間行動することは普通です。その間はずっとジョギング程度か状況によってはそれ以上の負荷がかかることになります。
もし、登山のためのトレーニングを行うのであれば、少なくとも登山と同じか少し高い負荷での有酸素運動をできるだけ長い時間行う必要があります。なので、最低でもジョギング程度の負荷のトレーニングを行いたいところです。
また、登山は重い荷物を背負って急な登山道を登ったり下りたりするので、普通にジョギングするだけでは十分なトレーニングとは言えなません。
時々は近くの裏山でもいいので、普段よりも重い荷物を背負って、早歩きで登るようなトレーニングをすれば、効果は更に上がります。
酸素が薄く気圧が低い高高度の登山では、高山病にかかってしまう場合もあるので、もし3,000メートルを超えるような山を想定するのであれば、少しずつ低い山から高い山に段階的に登るようにして高度順応する必要があります。
ということで、ウォーキングがトレーニングなるかどうか?という質問に対しては、「大きな効果は得られない」という回答をしておきました。